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朗読は『作品選び』からはじまっている
投稿日2017.05.23
朗読コラム  

 

 

 

 

 

私が思う『文学作品』と『朗読』の関わりには三通りあります。

 

1  文字を追っていただけでは、これと言って感動を見出せなかったのに、声に出して読んでみると、命が芽生えたように訴えかけてくるもの。

 

 

2  黙読して興味深い上、声にすると感ずるところや気づくところが尚深くなるもの。


 

3  作品は面白いのに、声に出してしまうと、持ち味が低下したり異質になってしまうもの。

 

皆さんが、朗読会などを催されるときは、作品の世界観を効果的に分かち合えるモチーフを選ぶことをお勧めします。

 

 

 

 

では、選び方のポイントと、注意点について

 

 

●内容 1 ーたっぷり過ぎは聴き手のストレスです

朗読会に行かれたことのある方から、共通した感想を伺います。

「上手いとは思うけれど、情報量が多すぎてお腹いっぱいになる」

演者数や演し物が多く、それぞれが全て中身の濃い作品だと、聴いている人は鑑賞疲れしてしまうということです。

企画者は、演者数が多いときには骨格のあるしっかりした作品は少数にとどめ、詩や、平たい言葉で書かれた小作品などをバランス良く織り交ぜてはいかがでしょうか。

 

●内容 2 ー理解しやすい作品を

聴く方の鑑賞力にも着目してください。

芸術に精通している方の集まりは別として、趣味の会でのお客様は「朗読」に不慣れだったり、元より、聴いたり観たりすることに馴染みのない方もおられるはずです。

複雑な筋立てや、登場人物が多いような話では、聴いている人はストーリーを追うだけでもアップアップし、楽しんで聴く、ということへのハードルが高まります。

この作品は洒落ていて素敵だとか、こんな奇抜な作品を読んでみたいというオマージュや着眼点は間違いではありませんが、独りよがりな選別になっていないかどうかは考えてみるべきです。

自分が感じた以上のものを聞き手と共有できるかというところにこそ、朗読者の高い意識が必要なのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

●内容 3 ー手垢がついていないものが無難ではあるけれど、、、、

朗読を勉強しているからには、必ず読んでみたい「アレ」のふたつやみっつはあるのではないでしょうか。

ただ、それらは、他の方も既に何回となく演られていないでしょうか。

聴き手に比較する対象があるくらい広く知られた作品を披露するには、かなりの技量や斬新さが要求されるのは覚悟しましょう。

しかしながら「あー、またこれね」と最初から聴く気を減退させてしまう危険があるとは言え、いい意味で裏切って「やっぱり聴いて良かった!」と逆転させられたら、それこそ朗読者冥利に尽きますね。

オーソドックスな作品を朗読するときには、イメージを損なうことなく「自分だけのかくし調味料」を加味してください。

よほどの工夫を凝らすか、もしくは「熟れ(こなれ)感」を出して、安定の朗読をしてもらいたいです。

精進あるのみですね。

 

●内容 4 ー声にすると却って台無しになる作品もある

オノマトペ(擬音語、擬声語、擬態語)を駆使した作品があります。

表現練習の基礎ですから、当教室でも、教材として良く扱います。

ユニークに表現できれば、朗読に音響効果も加わったように立体的な作品になりますね。

 

一方、文字を目で追っていた方が、より奇想天外なオノマトペもあるとも思うのです。

「音=聴覚に訴える」オノマトペ、と「字=視覚に訴える」オノマトペがあり、後者を声に出すと、どんなに頑張ってもひどく貧相で陳腐になるようです。

作者のせっかくの自由奔放で無限な遊び心が、朗読者によってちっぽけなサイズの世界に縮小させられてしまう、と言っても過言ではありません。

朗読で扱うなら、オノマトペに限ってでなく「音」にした時に愉しい響きのある作品を選ぶのがよろしいかと思います。

 

 

 

 

●時間ー長いと集中できません

ビジュアル効果もなく、ひたすら声だけでの表現となると、よほど表現力豊かな演者の朗読であっても、聴き手の集中力が持続するのは、長くて20分くらいが限度かと思います。

また、小説には必ず、山場に移行するまでの「だれ場」があります。

※だれ場=クライマックスシーンまでの伏線や、本筋とは直接関わらない詩的な描写などで、淡々とした部分

もし、だれ場が10分もあれば、現代人のスピード感から鑑みたら、まどろっこしくて居心地悪くなってくるのが、自然でしょう。

いずれは、だれ場を退屈させずにどう聞かせるか、という醍醐味まで学んでほしいですが、人前で発表する際、初心者の方は、声に出して5分から7分くらいの読み物を目処にされるのがよろしいでしょう。

 

練習は、客観性を養うような方法で

本番さながらの朗読風景を記録して、観客の立場でチェックしてください。

スマートフォンの録画機能など、ごく簡易なもので構わないので、できれば映像で振り返るのがいいですね。

再生しながらチェックする際、ただ恥ずかしがって観ていたのでは何にもなりません。最初は誰でも自分の姿を見ることに違和感がありますが、何回もやっているうちに、いずれ抵抗なく、接せられるようになるものです。(録音についても同様です)

 

サークルで練習しているような方達も、発表会のお稽古のときは、本番前にできれば何度かは指導経験のある方に見てもらうことをお勧めします。

指導者からは、自分では気づけない魅力を引き出してもらえるでしょうし、そうなればより満足度の高い会に仕上がることでしょう。

 

 

 

限られた時間の中で、聴き手がフラストレーションなく、安心して楽しめる作品を探すことは、発表者にとって、むしろつらい作業です。

そうやすやすと、全ての条件に当てはまったものは見つからないからです。

けれども、その経験を積むことが、聞き手の心を推し量れる朗読者に、引いては、心に届く朗読ができる人を育てると思っています。

 

 

 

 

 

※このコラムは不定期に更新しています。

 

次回予告

「朗読は身体にいい?」

 

 

 

 

 

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