「赤」「青」「白」
それぞれ聴いている人に色が見えてくるように言い分けてください。
そう申し上げたら、驚かれるでしょうか。ちょっと難しいように思うかもしれません。
でも、それは、難しいと思う心が困難にさせているだけで、本当はごく自然に出来てしまうことなのです。
声は嘘がつけません。
試しに、黒いものを見ながら「わあ、これ真っ白ね」と言ってみてください。
或いは、上を向いて「下」と言ってみてもいいです。
何だか嘘を言っている気になりませんか?どことなく気持ち悪くなるような。
出す声にも自信がなくなりますね。
どう表現してよいか分からずに音読していると、こうした「自信なげな声」になります。
嘘はついていないかもしれませんが、真実も言っていない訳ですね。
真に迫る表現がしたければ、その逆をすれば良いのです。
赤いものなら赤い色をリアルに思い浮かべます。
そして、思い浮かべたまま声に出すだけのことです。
「遠い山」であれば、距離や高さをうまく感じられれば、自ずと力強く「感じている声」になるというものです。
「寒さ」「暑さ」は、色のように脳裏に見る感覚とは違いますね。
今度は、「体感」や「体験」を思い出す感覚です。
寒い、暑いには、たいていちょっとした「苦」が伴うこともありますね。
物語の進行によっては、厳しい気候が登場人物を更に不幸や悲劇に導くこともしばしばあります。
そんなとき「サムイ」「アツイ」と事もなげにさらっと言ってしまったのでは、話の展開に何のエッセンスも混じり合いません。
寒くて心細かったこと、暑くてけだるかったこと、そんな気分の記憶を呼び起こして、登場人物のゆく末を共感しましょう。
「涼しい」や「明るい」という概ねポジティブを感じさせる情景には、声ににこやかさが加わるといいですね。
では、反対語はそっくりそのまま正反対の表情を加えればいいかと言うと、そうとも言い切れません。
「暗い」「薄暗い」などという形容からは、ひっそりしたさまや、落ち着きのある静けさが感じ取れる反面、ときに不気味さや、並々ならぬ悲壮感など、背景に流れるストーリーによって、ムードを高度に読解する必要があり、一通りではない場合もあります。
たとえ迷ったとしても、落ち着いた気持ちで、何度も声に出して読むことで、字面だけでは気づかなかったことが見えてくるものです。
グループレッスンでは、他の方の読み方を聴くことにより、さまざまな解釈に出逢えるという利点があります。
初心者の方は、マンツーマンとグループレッスン、程よく使い分けてレッスンなさることをお勧めします。
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※このコラムは不定期に更新しています。
次回は
「声の出やすい体に整えてから発声する」ことの大切さに触れたいと思います。

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