ことつぎで近年お渡ししたテキストの中のファンの多い作品をご紹介します

第 五 位 ……『夢十夜』　夏目 漱石    

第 四 位 ……『雪の日』　永井 荷風

第 三 位 ……『土佐源氏』　宮本 常一

第 二 位 ……『三人の訪問者』　島崎 藤村

第 一 位 …………『檸檬』　梶井 基次郎　

　

「基本的なことばかり知って頭でっかちな朗読者」になるより「あれこれ読んで言葉や表現の幅を知っている人」になってもらいたい！という一心で、教材を日々せっせと作っています。

　お越しのたびにお渡ししていますから、十年前後通ってくださっている方は、ざっと数えても百数十作品以上読んでいる勘定になります。

　少しクセがあるかな？と思いつつ差し上げたような作品こそ存外気に入っていただけることが多い印象があります。楽に読めるものではなく、文体に凄みのある作品を好きになってもらえるのは講師冥利に尽きるというものですし、読んだ感想を伺うときほど楽しいものはないです！

　ダントツ人気だった『檸檬』に寄せてくださった感想では、

《高校の授業で読んだ記憶があるが、その時はよく理解できなかった。年をとって読むとしみじみ心に響く》

《自分にも経験のある心情だから作者に共感する》

《色とりどりのものや昔の街並みがあざやかに感じられる》

《昔の人のいたずら心は罪がなくて可愛らしい》

《私も京都へ行って同じことをやってみたくなった》

《随筆でもなく小説でもない傑作だと思う》

《こんな作品が書けるなんて天才的。感性が羨ましい》

と皆さんがそれぞれの想いで愛読されました。

　『檸檬』という作品は知っていたが、きちんと読んだことが無かった、という方にもすっかり親しんでいただけて嬉しいです。私も『檸檬』は何とも言えない切なく温かい情緒があり、ユーモラスでチャーミング、かつ読後には前を向く勇気が湧いてくるような圧巻の作品と捉えており、昔から幾度も読み返しているものののひとつです。

　また、つい近頃では、詩「琵琶湖周航の歌」の美しさにうっとりする方続出！

「今日の一詩」をはじめて最初の教材でしたので私も喜びひとしおです。

　当時の旧制高校生の成熟した語彙力に感心される方が多くいらっしゃいました。

来年もますます感じる心を養ってくださいね　☆☆☆